●IVSとは?

IVS(Ideographic Variation Sequence)とは、異体字(外字)を指定し表示するためのしくみです。

漢字を表す文字(基底文字)の直後に、異体字に割り振られた異体字選択子と呼ばれる値(U+E0100~U+E01EF)を付けることにより、異体字を識別します。

これまで外字やフォント切り換えでしか対応できなかった異体字処理が、IVSに対応したフォントとアプリケーションがあれば異体字(外字)を入力・表示し、テキストデータとしてやり取りして再現できようになります。


例えば、葛の異体字 は「U+845B U+E0104」となります。
 連番 ch 基底 IVS 読み         
  
資料:IVS(異体字)+外字漢字一覧より
  • 「U+845B」の後に異体字セレクタ「U+E0104」があるので、これは「U+845B」の異体字だとわかり、通常の字形ではなく異体字としてフォントに登録されている字形を使います。
  • IVSに対応していないアプリでは異体字を表示できませんが、異体字でない通常の文字が表示されるので文章としては意味をなします。

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IVSは2種類


現在、Unicode IVS のコレクションとして Adobe-Japan1Hanyo-Denshi2種類が規定されています。

この2つに互換性がないため、Adobe-Japan1 IVSコレクションのフォントかHanyo-Denshi IVSコレクションのフォントの特徴を知った上で使う必要があります。

Adobe-Japan1は出版・印刷業界向けなのに比べ、Hanyo-Denshiは人名や地名など行政・金融機関での実務における利用のため、より多くの字形を区別して持っています。


●IVS+外字フォントは、Hanyo-Denshiコレクション
 (人名・地名用異体字漢字)に準拠しています。

     【一例】

     

(UnicodeのIVDデータより抜粋。)

Adobe-Japan1(DTP関連用)

 Adobe社が使用している文字コレクションの規格Adobe-Japan1に収録されたコレクションです。
 Adobe社の製品やDTP分野で非常によく利用されている標準的な規格ですので、多くのフォントメーカから販売されています。

例 Adobe社のフォント「小塚明朝 Pr6N」「小塚ゴシック Pr6N」など

Hanyo-Denshi (人名漢字用)

 日本の経産省下の汎用電子情報交換環境整備プログラム委員会が管理する、住基ネット・戸籍と登記システム等での利用を想定したコレクションになります。
 主に日本国の行政上使用する漢字のうち、戸籍などの異体字を登録するために作成されたものです。

例 IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が公開しているフォント「IPAmj明朝」
  サンセールのIVSフォント UX_IVSフォントシリーズ など


■IVS+外字フォントでは、2種類のIVSコレクションの
 異体字が同時に扱えます。

●IVS漢字の重複


現在のUnicode IVD(Ideographic Variation Database:漢字字形データベース)には、Adobe-Japan1とHanyo-Denshiの二つのデータベースが登録されていますが、IVD の包摂基準が同じではないためや、登録後に文字の削除や変更ができないという仕様のため重複が発生しています。
また、Adobe-Japan1のUnicode IVDへの登録時期が早かったために前の方の番号となっています。
二つの文字コレクションの間で整合性がとれないのは、仕様の違いと割り切るしかありません。

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●IVSを利用するには

Windows 7もMac OS XのSnow Leopardも、すでにOSレベルでIVSに対応していますが、IVSに対応したアプリケーションは、現時点ではWindows 7のメモ帳やFirefox 4などに限られています。

なお、Windows8では、すでに標準 Unicode IVD(UTS#37)に対応しています。 今後は次期「Microsoft Office」のWordやExcelなどでも対応予定となっていますが、お使いの全てのアプリケーションでのIVS対応は、まだまだ先のことになりそうです。


■IVS+外字フォントでは、同じIVS異体字漢字が旧OSや
 IVS未対応のアプリケーションでも制限なく自在に使えます。

【ご注意】


Microsoft Office対応のIVSアドインなどが提供されていますが参考実装のため、保守・サポート等は未対応となっていますのでご注意をお願いします。

  • IVS(異体字)を読み込み順に、外字に置き換えてPUA(私用領域)U+F100以降の2048文字へコピーをするが、読み込む文字が多い場合はとても時間もかかります。
    また、Hanyo-Denshiコレクションだけでも4195種類もあるため全てのIVS(異体字)を処理をするには物理的に無理があります。

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■IVS(異体字)を使うには

■IVSに対応した下記の環境が必要です。
O S  Windows7以降、MacOS X 10.7以降
 外字でIVS異体字を使う場合、WindowsXP以降で使用可能です。
アプリケーション  Windows7/8付属のメモ帳/ワードパッド 秀丸等
  参考: ★ IVSと外字の検索/入力方法
        メモ帳でIVS(異体字)を入力する
IVS対応フォント  Hanyo-Denshi対応フォント
 Adobe-Japan1対応フォント

★IVS(異体字)に対応しているかどうかは、最新バージョンによって異なることがありますので
 お使いのアプリケーションの各メーカーにお問い合わせ下さい。

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